新感覚SNS『DYSTOPIA』とは?独自の魅力や現状の問題点を解説

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2004年に開設した『mixi』に始まり、現在は『Facebook』や『X(旧Twitter)』、『Instagram』など、さまざまなSNSが人気です。スマートフォンがほとんどの国民に普及している今の時代、もはやSNSは人々の生活に欠かせない存在だと言えるでしょう。

そんな群雄割拠時代に新しいSNSが登場しました。その名も『DYSTOPIA』

反理想郷を意味する物々しい言葉に興味を持った方は多いのではないでしょうか。本記事では新感覚SNS『DYSTOPIA』の魅力や現在抱えている問題について紹介します。

「だれも傷つかない」を謳う新感覚SNS『DYSTOPIA』 とは?

2023年9月にAndroid版・iOS版のアプリが配信開始した『DYSTOPIA』。同アプリは「だれも傷つかない」をキャッチフレーズにしており、AI検閲という他社SNSサービスにはない独自の特徴で話題になりました。

ユーザーが利用できる機能はX(旧Twitter)とあまり変わらないものの、各機能を表す単語は別の言葉に変換されています。

フォローは『watch』、フォロワーは『watching you』。ディストピアという単語と後者のフレーズに心当たりのある方は少なくないのではないでしょうか。既に察している方はご存知の通り、DYSTOPIAには明確なモチーフが存在します。まずはインスピレーション元を紹介させていただきます。

SF小説『1984年』にインスピレーションを得たAI検閲システム

DYSTOPIAはジョージ・オーウェルのディストピアSF小説『1984年』の影響を受けています。作中のロンドンは至るところに「ビッグ・ブラザーがあなたを見守っている(Big Brother is watching you)」のスローガンを掲げたテレスクリーンやポスターがあり、市民が常に監視されている異様な世界。

DYSTOPIAは、chatGPTによるAI検閲でオーウェルの監視社会を再現しました。SNSで投稿した文章には常にAIの検閲が入り、不適切な表現の場合は自動的に修正されます。

AI検閲の例:

AIが自動的に攻撃的な言葉や不適切な単語を排除することで、DYSTOPIAは「健全」で「平和的」なコミュニティを目指します。

ただ、リリース後にセンシティブ画像が大量に投稿される事態が発生したため、文章だけでなく画像にも制限がかかりました。10月7日現在も画像投稿は一時的に禁止されています。制限前に投稿されていた画像はすべてBIG BROTHERに置き換わりました。

この一件は、DYSTOPIAの「だれも傷つかない」というフレーズを面白がりAI検閲の抜け道を探すユーザーが多いことが原因でしょう。画像の自動検閲機能が実装されれば制限は解除される見込みですが、一部ユーザーがそれすらも掻い潜る可能性は否定できません。

検閲が反応しない言葉もあるなど、ユーザーと運営によるイタチごっこの終わりは見えません。毅然とした対応が求められます。

DYSTOPIA最大の課題

アプリストアでリリースされたばかりにも関わらず、DYSTOPIA運営は別の大きな問題にも直面しています。DYSTOPIA最大の特徴であるAI検閲機能が仇になり、既にサービスの継続が困難な状況に陥っているのです。

原因は数万人のユーザーがAI検閲機能を利用したことで膨れ上がったChatGPTのAPI使用料。今のところは『PIXIV FANBOX』のプランで支援者を募集したり、DYSTOPIA内で広告を掲載するスポンサーを募集しているものの、焼け石に水かもしれません。

しかし先日のアップデートでOFFICIALプラン(月額480円のサブスクリプション)が追加されたため、改善の余地はあるでしょう。運営の今後の対応に注目が集まります。

不具合修正・機能追加アップデートでより充実したディストピアに

10月6日のアップデートによってDYSTOPIAユーザーはOFFICIALプラン(月額480円のサブスクリプション)を購入できるようになりました。それに伴い、AI検閲ルールはユーザー投票で決められるようになります。

初回の投票先は『赤ちゃん言葉』などを含む5種類。OFFICIALプランに加入したユーザーのみルールの閲覧・投票が可能ですが、今回に限り公式のX(旧Twitter)アカウントで投票先の内容が公開されているようです。

現在未実装のサブスクリプション機能(AI検閲のルールを提案できるEXECUTIVEプラン、独裁的にAI検閲ルールやBIG BROTHERを変更できるB・Bプラン)も、今後のアップデートで実装される見込み。より充実したディストピア社会の実現に期待が高まります。

まとめ


chatGPTを導入し、AI検閲による新しいコミュニティの実現を目指す『DYSTOPIA』は、現状さまざまな問題を抱えています。

センシティブな画像の大量投稿をきっかけに制限されている画像投稿機能やAI検閲を潜り抜ける不快なワード、ChatGPTの使用料が跳ね上がったことによるサービス継続の危機……解決されるべき課題はいくつもあります。

個人的にDYSTOPIA内の投稿を削除できない点がとても気になりました。X(旧Twitter)に慣れた身としては、やはり以下に羅列しているような機能の追加が望ましいです。

  • AI検閲機能の強化
  • 投稿削除機能の追加
  • ブロック機能の追加
  • アカウント非公開機能の追加

株式会社相談箱のホームページで今後の予定(UI調整や多言語対応、ブラウザ版の開発など)について記載されているので、DYSTOPIAに関する情報が気になる方はそちらにも目を通してみてはいかがでしょうか。

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